- 対象事案
平成20年4月から平成21年3月までの間に、定期監督及び申告に基づく監督等を行い、その是正を指導した結果、不払いになっていた割増賃金の支払が行われたもののうち、その支払額が1企業当たり合計100万円以上となったものを集計したものである。 - 割増賃金の是正支払の状況
是正企業数は85社、事業場数は620事業場、対象労働者数は7,488人、支払われた割増賃金の合計額は12億5766万円である。企業平均では1,480万円、労働者平均では17万円である。
そのうち、1企業当たり1,000万円以上の割増賃金の支払が行われた事案をみると、是正企業数は13社(全体の15.3%)、対象労働者数は2,784人(全体の37.2%)、支払われた割増賃金の合計額は10億5391万円(全体の83.8%)であり、1企業平均では8,107万円、労働者平均では38万円となっている。 - 業種別等の状況
企業数では、製造業が最も多いが、支払いを受けた労働者数、支払われた割増賃金額については、商業が最も多くなっている。
1企業での最高支払額は、3億111万円(製造業)で、次いで1億9310万円(商業)、1億7570万円(商業)の順である。
賃金不払残業に係る支払状況(平成20年度)
100万円以上の合計 | ||||
業種 | 企業数 | 支払いがなさ れた事業場数 |
支払いを受け た労働者数 |
支払金額(円) |
製造業 |
28 |
37 |
1,441 |
395,800,155 |
建設業 |
5 |
5 |
677 |
15,158,515 |
運輸交通業 |
5 |
6 |
326 |
155,023,628 |
商業 |
16 |
353 |
2,052 |
440,748,232 |
金融・保険業 |
2 |
2 |
32 |
28,563,835 |
教育研究 |
4 |
7 |
384 |
11,253,799 |
保健衛生業 |
7 |
7 |
1,033 |
112,931,206 |
接客娯楽業 |
1 |
11 |
72 |
10,918,151 |
清掃業 |
2 |
4 |
74 |
2,956,089 |
その他の事業 |
15 |
188 |
1,397 |
84,304,511 |
合計 |
85 |
620 |
7,488 |
1,257,658,121 |
100万円以上1000万円未満 | ||||
業種 | 企業数 | 支払いがなさ れた事業場数 |
支払いを受け た労働者数 |
支払金額(円) |
製造業 |
25 |
34 |
1,011 |
61,575,376 |
建設業 |
5 |
5 |
677 |
15,158,515 |
運輸交通業 |
4 |
5 |
163 |
10,200,732 |
商業 |
12 |
171 |
627 |
36,392,717 |
金融・広告業 |
1 |
1 |
22 |
4,492,843 |
教育研究 |
4 |
7 |
384 |
11,253,799 |
保健衛生業 |
6 |
6 |
678 |
17,769,151 |
接客娯楽業 |
0 |
0 |
0 |
0 |
清掃業 |
2 |
4 |
74 |
2,956,089 |
その他の事業 |
13 |
161 |
1,068 |
43,947,768 |
合計 |
72 |
394 |
4,704 |
203,746,990 |
1000万円以上 | ||||
業種 | 企業数 | 支払いがなさ れた事業場数 |
支払いを受け た労働者数 |
支払金額(円) |
製造業 |
3 |
3 |
430 |
334,224,779 |
建設業 |
|
|
|
|
運輸交通業 |
1 |
1 |
163 |
144,822,896 |
商業 |
4 |
182 |
1,425 |
404,355,515 |
金融・広告業 |
1 |
1 |
10 |
24,070,992 |
教育研究 |
|
|
|
|
保健衛生業 |
1 |
1 |
355 |
95,162,055 |
接客娯楽業 |
1 |
11 |
72 |
10,918,151 |
清掃業 |
|
|
|
|
その他の事業 |
2 |
27 |
329 |
40,356,743 |
合計 |
13 |
226 |
2,784 |
1,053,911,131 |
- 賃金不払残業(所定労働時間外に労働時間の一部又は全部に対して所定の賃金又は割増賃金を支払うことなく労働を行わせることをいう。いわゆるサービス残業のこと。)の解消については、平成13年4月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を策定し、重点的に監督指導を実施しているものである。
- また、その解消には、事業場における賃金不払残業の実態を知る立場にある労使による主体的な取組が必要であることから、平成15年5月には「賃金不払残業総合対策要綱」及び「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」を策定して、その解消のために講ずべき事項を示し、主体的な取組を強く促しているところである。
- 本年11月には、長時間労働の抑制、過重労働による健康障害の防止とともに賃金不払残業の解消のために「労働時間適正化キャンペーン」を実施することにより賃金不払残業の解消等を図るための周知・啓発活動を行うこととしている。